視覚障害者への盲導犬支援の歴史:障害者の自立を支える動き
視覚障害者への盲導犬支援の歴史
障害者が自分の力で就業し、通勤し、生活する事は、健常者にとっては決して理解しきれないほどの苦労が伴っています。特に、身体障害者においては、体の機能に関して不自由な思いを抱えている為、自立が難しいとされています。しかしながら、そうした機能に関しての不自由を補う為の支援も、国によって行われています。それが、補助犬の導入です。歴史があり、1番知られている補助犬には、盲導犬があります。盲導犬は、身体障害の中の視覚障害者の自立に向けて、支援を行うものとなっています。視覚障害者の場合、白杖という補助器具を使用して歩行する事が知られています。しかし、白杖では歩行に限界があります。また、点字ブロックによって方向を示している歩道もありますが、健常者の心ない行為によって、点字ブロックが辿れないといった困難から、歩行する範囲も限られていました。これでは、就業するどころか、通勤する事も難しくなります。しかし、盲導犬の導入によって、視覚障害者の目となる盲導犬が道を知らせ、職場となる企業まで導く事が出来るようになりました。この事によって、企業側が通勤における配慮をする負担が減らされた事になります。すなわち、困難となる条件の1つが解決された事になるのです。しかし、犬という形状が問題にもなっていました。障害者が自立する為の補助器具として、盲導犬を導入したにもかかわらず、企業内に犬が入るというのは衛生的な問題や環境を乱す原因になるといった事から、拒まれていた事もありました。こうした事態に、国も動きました。障害者の自立を支援する為には、障害者に必要な補助犬を認めさせる必要があると考えたのです。そこで制定されたのが、身体障害者補助犬法です。身体障害者補助犬法は、公共施設や交通機関などにおいて、補助犬を拒む事を禁止するものです。平成14年5月22日に成立し、10月1日に施行されています。身体障害者補助犬法によって、近年では当たり前の光景となりつつある、盲導犬の交通機関での同乗や、レストランやデパートなどの環境でも、盲導犬が入店する事を許可する動きが出て来ました。そして、企業に対しても、盲導犬を理由に採用を断る事がなくなってきました。こうして、障害者の自立の為の補助犬が認められるようになったのです。今では、聴覚障害者の為の聴導犬や、肢体不自由などの身体障害者の為の介助犬も認められつつあります。こうした現状を生み出したのも、法律があったからなのです。身体障害者補助犬法は、その他の障害者の法律をも改正させました。障害者基本法や社会福祉法、身体障害者福祉法なども、補助犬の規定が加えられています。